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ミュシャと日本、日本とオルリク(千葉市美術館)

ミュシャと日本、日本とオルリク」

ここ数年、美術館から足が遠のいていたのですが、また美術館巡りを復活させようと思わせてくれました。

千葉市美術館で催されている美術展です。

ちょっと遠いと思うでしょうが、東京駅から870円、徒歩時間も入れて65分くらいです。

 

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まず浮世絵

展示室に入ると、葛飾北斎の『富嶽三十六景 神奈川沖浪裏』です。

大波を前景に、富士山が遠景に後景に描かれています。

エネルギッシュな波と不動の富士山がの瞬間を切り取った作品で私は、まずこの作品に見入ってしまいました。

 

ジャポニスム光琳、型紙、そして浮世絵 というタイトルを感じる展示が並んでいました。

この展示全般に言えるのですが、ついているタイトルと作品が絶妙です!

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[http://Take2さんによるイラストACからのイラスト]

 


ミュシャと日本のアールヌボー 

そこから、ミュシャへと続きます。

ミュシャの作品は大好きです!

今回展示されていたモナコ・モンテ=カルロ P.L.M鉄道』は、私の大好きなポスターの一つです。


鉄道のポスターにもかかわらず、汽車の絵はありません。

平面的な、縁取りのある作風といい、浮世絵の影響を感じます。

 

「MONACO・MONTEーCARLO」の文字を見上げて、あこがれを持っているような女性の表情。

二つの環状の植物でできたリースは、そこに連れて行ってくれる汽車の車輪という解説を読んだ気がします。

主役の鉄道を前面に打ち出さなくても、これで魅力が伝わってきます。

 

少し歩くと、「日本のミュシャ」と呼ばれていた杉浦非水による三越百貨店のポスターが展示されています。

私は、アール・ヌーヴォーの彼の作品に心を惹かれました。
確かに、構図といい曲線と言い、ミュシャに傾倒していたというのが伝わってきます。

 

昨年、 東京国立近代美術館で杉浦非水展があったらしく、足を運ばなかったのが残念でたまりません。

今度、日本のグラフィックデザインの先駆者の作品展があれば必ず行こうと決心しました。

 

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もう一人の主役、オルリク

次に、同じチェコ出身のオルリクの作品が並びます。

オラリクは、パリ万博が行われた1900年に木版画の技術を学ぶため来日しています。

 

日本滞在中の作品は、習作のようでしたが、帰国後の1901年には木版画

『日本の旅人』、『日本の絵師』、『日本の彫師』、『日本の摺師』を発表しています。

これは彼の代表作です。

 

彼は、滞在中の10か月間で、絵師、彫師、摺師に師事して浮世絵の技術を取得しています。
たった10か月でこれだけ学んでいたのかと驚きです。

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 彼は、自刻の多色摺り木版画を制作し、ヨーロッパで後進に多大な影響を与えました。

 

この部屋にあった カールティーマンミュンヘン通り』(木版画を眺めながら実感しました。

 

 


ミュシャ、オラリク、ヨーロッパ、相互に影響を受け与え

 

『明星』『方寸』の版画を眺めていると、日本とヨーロッパがどのように影響を受け、与えていたのかの相互関係も見えて面白かったです。

 

いままでミュシャの展示は4回観ています。初めて見たのは大阪の「堺市文化館」です。

ここには、「堺 アルフォンス・ミュシャ館」の名前通り、多くの作品が常設されています。

実はここでミュシャに魅せられました。

 

日本の浮世絵がヨーロッパに影響を与え、ミュシャが日本のアールヌーボへ影響を与えたというのは、知っていました。

しかし、もう一人のオルリクについては存じておらず、彼が日本から木版画の技術を持ち帰り、後進を木版画に駆り立てていたとは初めて知りました。

 

相互に影響を受け、与えていた様子がとてもわかる展示内容でした。

 

9/29まで、渋谷のBunkamuraで開催されていたミュシャ展に行きたかったのですが、人が多いと聞き躊躇してしまいました。
思い切って、千葉市美術館へわざわざ(?)行って良かった!


この展示は、下記の4か所を巡回しています。

足を運ぶ価値ありです!

 

      詳しくは、下記のとおりです。

 

ミュシャと日本、日本とオルリク | 全国巡回展情報 | インターネットミュージアム